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大規模レコーディングスタジオは必要か?

2016/12 当ブログを移転いたしました。
新しいブログはhttp://www.recording69.com/になります。

引き続きよろしくお願いいたします。



はじめに
近年、大規模レコーディングスタジオの閉鎖が相次いでいる。
日本も例外なくスタジオ大量閉鎖時代とも呼べる状況だ。

その多くは老舗スタジオと呼ばれるレコーディングスタジオであり、日本の音楽業界の中枢で役割を担ってきた事は言うまでもない。

スタジオ閉鎖の理由は様々だと思うが、一番の理由は需要の低下。
ProToolsを筆頭にDAWの高性能化が進み、一昔前では考えられない事がスタジオではなく自宅で出来てしまう。
私ももちろんDAWの恩恵を受けているが、やはり長年親しんだり多くの作品を録音してきたスタジオが閉鎖されるのは悲しいと思う。

DAWの他に音楽業界含む、TVラジオなどのメディア業界、マスコミ業界などの業績低迷が大きく影響している。
制作費はどんどん削られる状況で高いスタジオ代がかかるスタジオは敬遠される。
この状況はおそらく止まらずに業界の崩壊に近いところまでいくかも知れない。
まず良くなることはありえない。

大規模レコーディングスタジオの魅力は何か?
この機会に閉鎖されていく老舗スタジオの魅力を考えてみたい。
まず、大きいスタジオは大体歴史のある老舗の場合が多い。
大きいところでしか録音出来ないセッションというものは存在する。
オーケストラを使った映画音楽をはじめバンドものでもDr+Bass+Piano+Gtrという編成でブースを分けて完全セパレートで録音しようと思えばそれなりの規模は必要になる。
ただし近年は無理に同録をしなくてもいいじゃないかという考えが一般的であり、何が何でも同録でないと駄目なセッションはレアケースだろう。
では、老舗スタジオの魅力とは何か?
広いメンフロアーやアナログMTR、ビンテージ機材でもなく、モニター環境であると思う。
新しく出来るスタジオでモニターが物凄い良い例というのは稀だと言える。
もちろん全てのスタジオを知っているわけではないが、老舗スタジオのモニターは安心出来る事が多い。
スタジオのエンジニア陣やメンテナンスエンジニアが長年かけて改良し、調整を行ってきたモニターというものはやはり重要だと思う。
不思議なもので楽器のように年月をかけて熟成してきたスタジオの音というものがある。

音は目に見えず、再生媒体によって変わるいわば正解のない世界だ。
モニター環境が良いという事は録音される段階から音の隅々まで確認しながら進められるという事。
これはやはり代替えが利かない一番の魅力であると思う。

結局 大規模スタジオの必要性は?
結局のところビジネス的な都合で言えばどうしても必要なときだけ大きなスタジオがあれば良いという事になる。
モニター環境の問題だってミックスダウン後に失敗した箇所に気が付いても、セッションを立ち上げて再度修正する事が出来る。一昔前は不可能だった事が可能だ。
大きなスタジオが必要なときには日本にはNHKスタジオもあるし、その気になれば録音車やモバイルシステムでホールでも何処でも録音は出来る。
それが終わればさっさと片付けてボーカルしか録音出来ない小さなスタジオへと場所を移すのだ。
予算管理という考えでいくとごく当たり前な事が出来る環境になり、そういう選択筋を選ぶのはごく当たり前であると言える。
老舗スタジオの閉鎖は時代の移り変わりの中もはや必然であると言えるかもしれない。


最後に
手持ちのお気に入りのCDのクレジットに書かれているスタジオを見てみて下さい。
もう無いスタジオもあると思います。
スタジオは無くなってもそこで録音された音楽は時間を越えて残ります。
それが音楽の一番素晴らしい事だと思います。

もういちど 音楽とは何か?を考えなおす時期が来ているのでないでしょうか?

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01.レコーディングの仕事の事」カテゴリの記事

コメント

北関東に在住しております。

市民からの寄付金によって、市営のプロ向けレコーディングスタジオが作られました。
東京の業界関係者やプロミュージシャンに安価で利用してもらい、地域の活性化を目指すようです。
プロの目から見ても、地方に行って安価にレコーディング、というのは魅力的に映るのでしょうか?

北関東より さん

コメントありがとうございます。
地方のスタジオ設備というのは大きく分けて今までも2種類ありました。
1つはリゾート型
富士山周辺や伊豆、沖縄や軽井沢、北海道エリアに多くありましたが殆どは近年閉鎖、又は違う施設になってしまっています。
遊び半分、仕事半分という感じの目的で使われていました。
バブル期の勢いで作ったという印象が強いですね。

もうひとつは自治体運営のスタジオです。
仙台が有名かと思いますが今回もそれの類でしょうか。
まず大きな問題は移動と宿泊です。
移動が東京から車で1時間少しであれば日帰りが可能です。
逆に3時間以上かかるようであれば宿泊して2~数日という事になると思います。
都内の商業スタジオは1日ロックアウトで15万円くらいですので同じ設備で1日5万で使用できれば日帰り利用だと魅力的だとは思います。
しかし宿泊が必要となるとバンドセッションでも最低5人~10人規模のスタッフになりますから宿泊費用などを考えるとお得とは言えません。
また設備をプロ並にしても機材メンテナンスやアシスタントエンジニアの問題などが残ります。
今まで幾つかの自治体がやった箱物施設と変わらないようであればわざわざそこで仕事をするというプログラムは少ないのではないかと思います。
都内でも1日5万円で使えるそれなりのスタジオはありますし値段だけが安いという事では難しいでしょう。

詳しい内容がわかりませんがこれが私の感想です。

管理人さま

詳しく教えていただきありがとうございます。


都心から車で2時間弱、通常10万円、地元ラジオに出演などしてもらえれば3万円、選抜審査されたアマチュアは1万円、提携エンジニアが技術担当し(常駐かは不明です)、都内のプロスタジオと同品質の録音ができるそうです。


東京の業界関係者が訪れることで地域の活性化をはかり、地元から全国、世界に通用するアーティストを育成する、ということのようです。
地域に根付いた音楽文化というよりは、東京と同じ環境を作ることによって東京の音楽業界と直結させたい、という運営方針に見えます。北関東はどうしても東京に人をとられるというか、文化の空白地帯になりがちですので。


東京の業界関係者をターゲットとするなら、微妙な立地でしょうか。
市営ですので市民のアマチュアに自由に利用してもらうのが一番健全な気がしますが、その際の人件費がどれくらいなのかも分かりませんし、地元の音楽スタジオ等にとっては民業圧迫ともなり得ます。
またスタジオ建設自体は寄付者の意向に沿ったことなので問題ありませんし、ありがたいことなのですが、今後の運営費や維持費、収益などは全く想像がつきません。安易に無駄な税金を投入することの無いように運営していただきたいものです。


市がバンド文化をバックアップというのは初の試みだそうですが、それはあえて誰もやらなかったことだとも言えます。
とは言え「ゆるキャラ」の例があるように、このことが一大ムーブメントを巻き起こし、何か大きな成果を生むことになるかもしれません。
本当の結果がわかるのは数年先になるのでしょうか。


大規模レコーディングスタジオの話ではなく、地方財政と町おこしの話になってしまいました。
ここで話すことではなくて、市に話すべき内容かもしれませんが、結局のところ地方の人間には「よくわからない」のが実情だと思います。
東京のプロの目にはどう映っているのかが気になります。

北関東より さん

もう少しだけお答えさせていただきますね。

1日10万が安いか高いかと言われれば設備にもよりますが まあ普通だと言えます。
専属のアシスタントエンジニアがつかないようなら微妙な金額です。
プロユーススタジオと同品質というのは何が基準なのかわかりませんが
機材が同じくらいという事であれば特に魅力は感じません。
実際に機材や設備だけ一流のスタジオが幾つも出来ましたが、部屋の音響特性など課題は沢山出てきてオープン後に改修を重ねるなんていう事は結構あります。

大分割愛しますが、ラジオ出演で安く使える という企画はよいと思いますが、実際メジャーデビューしている人でラジオに出て視聴者が知っている人となると・・・難しいでしょうね。
ほとんどの歌手やバンドは一般人からすれば「誰?」状態ですからね。
また 録音後数ヶ月して発売の時にラジオでかけてくれる とかなら宣伝効果が見込めますが、実際ラジオで数回かかった程度で売れるほど甘くないのが難しいところです。

話を戻すと なにより移動が課題だと思います。
バンドならメンバーで行けばすみますが、通常のプロジェクトでは個別に車移動となりますので敷居が高いと言えるとおもいます。
またボーカルダビングのような人数が少ない場合は都内でいくらでも安いスタジオはありますし、事務所によっては自分たちで設備を所有しています。

アマチュアユースというのは・・正直よくわかりません。
自治体で音楽商品やプロモーション企画をするなら別ですが録音スタジオのかわり となると・・・どうなんでしょうか?
昔はスタジオ録音が非常に高価でしたが今はどこも安いですからね。

また録音などの制作には客も入れませんしエンターテイメント性は皆無です。
コンサートなどは近隣から人が集まり食事もするでしょうし買い物もするでしょう。
こう考えると自治体がホールやコンサート施設、ライブイベントなどに力を入れるのは至極当然かもしれません。

最後に北関東が東京に人や経済をとられて空白になりがち という意見ですが、今回の企画だけ見ると まさに東京で活動している有名人や音楽関係者に依存していませんか?
ちょっと矛盾を感じてしまいました。

私が以前から思っていることですが
東京どうこうではなく、(仮に)音楽特区のような制度で、優秀な指導者を招いた音楽大学などでの音楽家や演奏家の育成、コンサート会場やライブ施設など活動拠点の充実、居住も誘致して税金も安くするなど 日本、世界から音楽家たちが集まるような規模のプロジェクトでないと一過性のものに感じてしまいます。

近年のロックフェスが同じ場所で定着しているのは地元自治体の協力によるところが大きく、お金も人も多く動きます。しかしイベントが終わればそれまでで、宿泊施設などもイベントの時だけ満室という状況だけみると経済効果はほんの数日という事になってしまいますよね?

ここらへんはオリンピックなどと同じかもしれません。

えらそうな事をかいてしまいましたが、お役所の人たちは最終的に何をしていくか というビジョンが欠落している気がします。

北関東さんが設備を生かした企画書を作ってバンバン市にプレゼンしていくのも良いかもしれませんね。

管理人さま

東京から業界関係者やアーティストが訪れれば地元の洋品店や飲食店を利用してもらえる。
全国、世界に通用するアーティストを育成することで、市の知名度を上げる。
音楽文化が活性化し、全国から音楽を志す若者が集まる。
大まかにこのような施策らしいですが、いただいたコメントを読む限りでは、難しいような気がします。


いくつかの自治体が作った、住民であれば数百円で利用できるデジタル録音スタジオ、ビデオ編集室などと呼ばれるものは、いくつものビデオデッキなどがかっこ良く壁面に埋め込まれているが、裏側が配線されていない、ということもあります。施工業者はそんなもの作ったことがないし、機材の販売業者も何をそろえていいか分からないのでとりあえずいっぱい納品しとけ、となるからです。
それに比べれば今回のスタジオは、巨額の寄付金のおかげで、東京の専門業者が作ったプロ向けの、記事にもあるような大規模レコーディングスタジオに近いものだと思います。
地域の音楽祭を充実させるなど、一時的とは言え効果が出そうなことは他にもあるのですが、スタジオ建設自体は寄付者の意向によるものですので問題ありませんし、寄付者には感謝するべきなのですが、スタジオをどう使ってゆけばいいのかについては、議論はされたが結局みんなよくわかっていない、ということなのだと思います。そのため運営は民間の音楽事業者に一任するようです。


ただ、市民が自由に使える訳でもなく、特定の音楽事業者が運営して東京の業界関係者やアーティストにスタジオを利用してもらう、アーティストを発掘する、といった現在分かっている内容から判断すると、民間の音楽事業者にたぶらかされた(言い方は悪いですが)市が、多額の寄付金が入ったので、実質その事業者に専用のスタジオを建ててあげて、その運営費用まで補助金を出す。というよくわからない結果になってしまったように思えてしまうのです。
東京を主な活動の場とする民間の音楽事業者に、なぜか地方都市がパトロンについてしまったというような。
コミュニティFMなど、自治体が施設を整備して運営する事業者に無償貸与する例もありますが、それとはまたニュアンスが違う気もします。
前例のない事業なので、正直なんだかよくわかりません。
もし音楽事業者がボランティアで運営をしてくださっているのだとすれば、大変失礼な書き方となってしまいましたが。


もちろん今後も運営方針が変わってゆくかもしれませんし、業界関係者からすれば、よくやった、うらやましいな、と思えることかもしれませんが、疑念を抱く市民、自分たちは使わせてもらえないの?と思う地元のバンド関係者も少なくはないはずです。
ただ、よくわからないことには反対意見も出しにくいのです。
自分に知識やアイデアがあれば、設備を生かした企画書をプレゼンすることもできるのでしょうが、正直小学生の社会科見学ぐらいしか思い浮かびません。演奏中に小学生が入ってきても困るでしょうし、使っていないときにスタジオ博物館、ぐらいにしかならないような気がします。あとは市営の音楽専門学校とか?楽器店の音楽スクールにとっては民業圧迫かもしれませんが。
結局は今後の運営について注意深く見守る、、、ということしか出来ないのかもしれません。


ブログの内容にそぐわない話を長く続けるのもなんですので、この辺りで失礼させていただきます。
実際にプロとして業界に身を置いている方にとっては意見を口に出しにくい話題かもしれませんが、お付き合いくださりありがとうございました。

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